第115回 京都大学丸の内セミナー




分子でつくる小さい空間の話

令和2年2月7日(金)18:00より

 古川修平(高等研究院 物質-細胞統合システム拠点 准教授)




 タワーマンション、スタジアム、カプセルホテル、田舎の豪華なお屋敷、私達のまわりには色んな建築物がある。人が快適にすごせる空間を持つ建物もあれば、空間を細かく区切って、多くの人を詰め込むことを目的にしている建物もある。今回は、そんな空間をどう設計するかということをお話する予定です。ただし、みなさんが想像している空間よりも10億分の1小さい世界の空間のお話です。

 我々が生活している空間をメートル(m)とすると、その10億分の1はナノメートル(nm)です。このサイズ領域は分子の大きさの世界であり、DNAの幅が約2nmで、ベンゼンが約0.4nmです。このサイズでも、あたかも建築物をつくるように分子を壁や柱として組み上げていくことで、分子に取り囲まれた空間をつくることができます。出来上がったその空間は「真空」なのでなにもないが、そこに、別のいろんな分子を取り込むことができます(ゲスト分子と呼ぶ)。その分子でできた壁を化学置換基で色々と変えることによって、特定のゲスト分子にとっては快適な、でも他のゲスト分子にとっては快適ではない環境をつくることができます。これによりゲスト分子を選ぶこともできます(分離)。また、この建築物をつなげてカプセルホテルのようにすることで、より多くのゲスト分子を閉じ込めることもできます(貯蔵)。ゲスト分子が快適でなくなる刺激を与えて、追い出すこともできます(放出)。

 このゲスト分子としては、様々な分子が考えられます。二酸化炭素をゲスト分子として空気と区別できれば、大気中の二酸化炭素を回収することができます。メタンがゲスト分子であるときは、天然ガスを沢山貯蔵することができます。薬剤分子がゲスト分子であるときは、刺激で放出することで薬剤運搬として用いることができます。分子でできた空間に取り込む分子によって、色んな応用が広がります。

 講演では、分子でできた空間の歴史、科学的な発展、応用展開についてお話します。


 


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