第76回 京都大学丸の内セミナー



本講演では、原子力プラントの事故時に炉心の健全性を維持するための材料開発に関する国際的な研究開発状況と国内の開発状況も含め、京都大学がこれまでに研究開発を進めている二種類の先進構造材料、1) 酸化物分散強化鋼、2) 炭化ケイ素セラミックス複合材料を紹介します。




平成28年11月4日(金)18:00より


原子力の安全性を抜本的に向上させる
革新的材料の研究開発
1) 酸化物分散強化鋼(ODS鋼)

木村晃彦(エネルギー理工学研究所・教授)



1) 酸化物分散強化鋼(ODS鋼)

酸化物分散強化鋼は、通常の鉄鋼材料に直径が数nmの微細な酸化物粒子を高密度に分散させた先進鉄鋼材料であり、高温における強度や耐食性ならびに原子炉内照射に対する耐性が優れていることから、次世代原子力システムへの適用に向けて、各国において研究開発が進められています。事故時に水素発生速度を大幅に低下させることにより、水素爆発を抑えられると期待されています。さらに最近では、火力発電や航空機エンジンのタービンブレードへの適用も検討されており、将来の高温用先進鉄鋼材料として位置づけられています。ここでは、ODS鋼の優れた特性を紹介すると共に、それを引き出しているメカニズムやその促進に向けた現在の研究開発状況を紹介します。













原子力の安全性を抜本的に向上させる
革新的材料の研究開発
2) 炭化ケイ素複合材料(SiC/SiC)

檜木達也( エネルギー理工学研究所 准教授)



2) 炭化ケイ素複合材料(SiC/SiC

炭化ケイ素セラミックス材料は、高温の水蒸気に耐える特性や、昇華点が非常に高いことから、原子力の安全性を高める究極の炉心材料として米国やフランスを中心に開発が進められています。通常のセラミックスでは簡単に割れてしまうため、最近、航空機エンジンで実用化が進められている炭化ケイ素繊維で強化した炭化ケイ素セラミックス複合材料に関して、研究開発が進められています。実際に使用されるためには、事故時に耐えるとともに、通常使用される環境である300℃を超える高温水や中性子が飛んでくる環境に耐える材料の開発が必要で不純物の制御等が重要な課題となります。ここでは、SiC/SiC開発の現状について、課題解決に向けた最近の研究を紹介します。









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