120回 京都大学丸の内セミナー

第120京都大学丸の内セミナー

iPS細胞を用いた再生医療の現状と展望

令和日(金)18:00 ~19:30

 長船健二iPS細胞研究所 教授)

 近年、無限の増殖能と全身の臓器の構成細胞への分化能を有するiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製された細胞を移植することによって、臓器機能の回復を図る再生医療の開発研究が著しく進捗している。そして、2014年秋にわが国において世界初のiPS細胞を用いた再生医療の試験である網膜疾患患者への移植が開始され、その後、パーキンソン病、難治性角膜疾患、重症心不全、軟骨疾患などに対するiPS細胞を用いた細胞移植手術やiPS細胞から作製された血小板の再生不良性貧血患者への輸血が実施された。また、今後数年内に他の複数の疾患においてもiPS細胞を用いた再生医療の試験が開始される予定である。一方、演者らは、患者数が多いにもかかわらず根治的治療法がほとんどないため、世界的な医学的および医療経済的問題を生じている腎臓病、糖尿病、肝硬変に対するiPS細胞を用いた再生医療開発を行っている。本発表では、わが国におけるiPS細胞を用いた再生医療全般と演者らの腎臓病、糖尿病、肝硬変に対する再生医療開発に向けた取り組みについて提示したい。