第1回品川セミナー

「人間とは何か −チンパンジーとの比較から−」

共催:日本学術会議サイエンスカフェ

平成22年6月4日(金) 17:30より

松沢哲郎 (霊長類研究所、教授・所長、日本学術会議会員)

「人間とは何か」「人間はどこからきたのか」、霊長類学は人間の由来について探求する学問です。わたしは、西アフリカのギニアで野生チンパンジーの暮らしの研究をするとともに、日本の研究所でチンパンジーたちの心の研究をしてきました。人間の体が進化の産物であるのと同様に、その心も進化の産物です。しかし、心や脳は化石に残りません。そこで、共通の祖先をもつ生物のあいだで比較することで、その進化の過程を考察します。チンパンジーは「進化の隣人」人です。彼らとの比較を通じて、人間の人間らしいところはどこにあるのか。どういう部分が霊長類の共通祖先から受け継いだものなのか。人間の親子関係や、子育てや、教育の進化的基盤、さらには思考や言語の起源について、最近の研究の成果をお話します。