21回品川セミナー

スパコンは何がスーパーなのか

平成2423日(金) 17:30より

中島 浩(学術情報メディアセンター長、教授)

神戸市ポートアイランドで本格稼動に向けた準備が着々と進んでいるスーパーコンピュータ(スパコン)「京」は、1秒間に1京回(1兆の1万倍)の演算(加減乗算)を行う世界最速のコンピュータです。また京に比べれば小規模ながら、京都大学でも1秒間に500兆回以上の演算を行う最新鋭スパコンが、2012年5月から稼動を予定しています。

 これらのスパコンは、パソコンの数万〜数十万倍という非常に高い性能を誇っていますが、個々の部品、たとえばプロセッサチップやメモリチップはパソコンと基本的に変わりありません。またコンピュータの性能を決定する基本パラメータである動作周波数も、パソコンと同等以下に過ぎません。したがって、市販車の何倍もの性能を持つエンジンや特殊なボディ・シャーシで高速走行を実現しているF1カーとは違い、普通の部品を寄せ集めて(ただし非常に数多く寄せ集めて)超高性能を実現することがスパコンの特徴の一つです。

 この講演では、パソコンとスパコンの何が同じで何が違うかを実例に基づいて紹介し、超高性能の秘密を理解していただきます。またスパコンの超高性能を支える「並列計算」の原理が、現在のそして今後のパソコンやサーバーの進化の鍵であることも紹介します。