5回品川セミナー

「金融危機はなぜ起きたのだろうかー21世紀経済の進む道ー」  

共催:日本学術会議サイエンスカフェ

平成22年10日(金) 17:30より

矢野誠(経済研究所、教授・所長) 

2008年秋の世界金融危機は,1930年代の大恐慌の再来とも言われ,わたしたちの生活にも深刻な影を投げかけています.一旦は危機を乗り越えるかのように見えた世界経済は,ギリシャやスペインの政府債務の貸倒れリスクの増大などで再び雲行きが怪しくなってきています。

わたしは,10年ほど前から,「市場の質理論」と呼ばれる新しい市場理論を提唱し,研究を続けてきました.この理論に立つと,世界金融危機の根底に,20世紀経済が培ってきた金融市場のルールがIT革命を通じた生産力の増大によって時代遅れになってしまったことがあるのが見えてきます.金融危機を説明する「市場の質理論」とはどのようなものなのか,どのようにしてIT革命が世界金融危機につながったのか,危機を乗り越えるには何が必要なのか,といった問題を分かりやすくお話しします。