第125回 京都大学丸の内セミナー
(現地/オンライン)

ニューラルネットワークを使った
物理データの分析・可視化

令和1月4日(金)18:00 ~19:30

 小山田耕二学術情報メディアセンター・教授

 ニューラルネットワーク(Neural network: NN)とは、人間の脳のしくみ(ニューロン間のあらゆる相互接続)から着想を得たもので、脳機能の特性のいくつかをコンピュータ上で表現するために作られた数学モデルです。利用分野としては多岐にわたりますが、例えば、AIチャットボットは、適用事例の多い利用分野です。ところが、NNは、時空間座標で定義された物理データを可視化・分析するためにはあまり使われていませんでした。

 NNは複雑な物理データの回帰(近似)には使えないという思い込みがあったのかもしれませんが、最近は、物理情報に基づくニューラルネットワーク(Physics-informed NN: PINNs)が提案され、多くの研究者の注目を集め始めています。PINNsを使うと、時空間離散点で記述された境界条件(ディレクレ型やノイマン型)を用いて、与えられた偏微分方程式(Partial differential equation: PDE)を解いたり、PDEを導出することができます。本セミナーでは、PINNsを使ったPDEの導出・求解(Fig. 1)に加えて、PINNsを使った可視化手法、具体的には、三次元画像として表現された古文献データからページを復元する手法(Fig. 2)や核融合炉モデルで計算された磁力線群の包絡面を可視化する手法(Fig. 3)について紹介します。

Fig. 1

Fig.

Fig. 3