第147回 京都大学丸の内セミナー
令和7年8月1日(金)18:00 ~19:30
島川 祐一(化学研究所・教授)
持続可能な世界の発展のために、地球のエネルギー・環境問題を解決することが大きな課題となっています。例えば、世界の消費電力の20%近くは空調などの冷房や食料の保存・保管のための冷却に使われると言われており、効率的な冷房・冷却技術の開発が求められています。そのような社会の需要に応える技術の一つが「熱量効果」と言われる現象で、京都大学化学研究所では、熱量効果を示す新しい材料の開発を目指した物質・材料研究を行っています。
我々は、熱量効果を示す固体材料として鉄(Fe)などの遷移金属元素を含んだ酸化物が示す相転移現象に注目しています。相転移による熱を圧力や磁場で制御することができれば、新しい熱量効果材料となります。新しい材料をナノスケール(原子レベル)で設計する、合成する、評価する、という研究を紹介します。