97回京都大学丸の内セミナー

CO2排出量削減研究と創薬研究の交差点
-木質バイオマス研究と疾病関連蛋白質/RNA研究は、思うほど異質ではない-

平成30日(金) 1800より

片平正人 (エネルギー理工学研究所 教授)


地球温暖化を防ぐ為にCO2の排出量を削減する事を目指す研究と、病気を治す為に薬を開発する事を目指す研究は、前者はグリーンイノベーション、後者はライフイノベーションと目され、通常は全く異質のものと捉えられがちである。しかし我々の研究室ではこの両者をそれ程の違和感なく並行して行っている。両研究においては、共通な生物学的ないしは物理化学的な手法が用いられる事も多く、垣根はそれほど高くないように感じられる。研究室におけるセミナーでも、教員・学生はこの二つの分野における各自の研究の進捗状況を披露し、それについて全員で議論するという事が成立している。本講演では、異質と思われがちな二つの研究が同時に進行している我々の研究室の実際の様子を紹介する。

具体的には、木質バイオマスからエネルギーと高付加価値物質を獲得する事を目指した研究、病気を引き起こすあるいは防ぐ蛋白質/RNAの動作機構の解明とその創薬への応用を目指した研究について解説する。また研究室における日々の生活を、スナップ写真をまじえて紹介する。さらに理系の研究者のキャリアパスの現状に関して、当研究室を具体例として考えてみる。