第16回品川セミナー

先祖帰りする細胞の不思議
:iPS細胞の登場がもたらしたもの

平成2392日(金) 17:30より

江藤浩之(iPS細胞研究所、教授)

iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、筋肉や神経など体のあらゆる組織に成長する多能性幹細胞で、将来、再生医療への応用が期待されています。2006年に山中伸弥教授らの研究グループがマウスの皮膚細胞にわずか4つの因子を導入することでiPS細胞ができることを世界で初めて報告しました。翌年には、ヒトの皮膚細胞からも作製可能なことを示しました。

 このような素晴らしい発見がきっかけとなり、京都大学では、2008年にiPS細胞研究センターが作られ、2010年4月にiPS細胞研究所が14番目の附置研究所として誕生しました。iPS細胞研究所は、まだ誕生したばかりの研究所ですが、iPS細胞の医療応用を目指して200人以上の体制で研究を進めています。

 今回のセミナーでは、iPS細胞の基本情報や最近の研究の状況、そして今後どのようなことに応用しようとされているのかなどについて、「iPS細胞から血液を作る」という研究を紹介しながら説明します。