36回品川セミナー

生老病死に対する日本人の経験智と自己決定

平成25510日(金) 17:30より

カール・ベッカー
(こころの未来研究センター・教授)

日本の伝統文化では、在宅で大家族に囲まれながら、死の看取りを行ってきました。ところが、過去数十年の間、死の看取りは在宅から病院、大家族から医療従事者へと渡りました。患者自身の死に対する不安などを話せなくなったばかりか、遺族の悲嘆を消化する場もなくなりつつあります。納得できない死別や、消化できない悲嘆は、精神的な後遺症に及ぶという深刻な問題に対して、本公演では、縁者のカウンセリングや看取りの体験をベースに、日本人の経験智に基づき、死別の受容のプロセスを再検討・再評価したいものです。なお、自己決定という名の下で、現代医学が可能にしてきた様々な治療法を、一般市民の患者まで選択する時代となりましたが、その「自己決定権」をどのように実行すれば良いかについても一緒に考えたい。