第112回 京都大学丸の内セミナー

フィンテックとコーポレート・ガバナンスおよび金融資産市場

令和元年11日(金)18:00 より

小佐野 広(経済研究所 教授)

 近年の金融とITが融合したフィンテック(FinTech)の発展、とくに、ブロックチェーン(blockchains)のような分散型情報処理技術は、今のところ、普及しているのは仮想通貨のところに限定される。

 しかし、潜在的には、決済・送金システム、証券・デリバティブ取引等の金融サービスで応用可能性がある。 一方、深層学習(deep learning)や強化学習
(reinforcement learning)のような機械学習(machine learning)の発展は、多様な金融仲介機関に人工知能(AI)やビッグデータ(big data)の積極的な利用を可能にしている。
高速取引(high-frequency trading)技術の発展もこの傾向を促進する。 どちらの情報処理技術の発展にも、それらを活用するために多くの人材投資が必要とされる。

 ここではフィンテックの発展がコーポレート・ガバナンスや金融資産市場の安定性にどのような影響を与えるかを明らかにする。