58回品川セミナー

神道と仏教から見た心のワザ学と日本文化

平成2736日(金) 17:30より

鎌田 東二 (こころの未来研究センター・教授)

東日本大震災の時、神社の境内に駆け上がって助かり、お寺のお堂で避難所生活をした方々が大勢いました。神社と寺院は、突発的な自然災害時には緊急避難地や避難所となってきました。いわば、日本列島の地域的かつ精神的安全弁としての役割を果たしてきたといえます。「八百万の神」と言われる神道の「神」の多くは自然神格です。それに対して、仏とは悟りの智慧を身に付けた人間人格です。あえて図式的に言えば、自然の中に「カミ」を見、人間の中に「ホトケ」を見てきた日本人の「心」は、自然と人間生活の調和を図るためのさまざまな仕掛けやワザを開発してきました。今回の講演では、そのような日本文化の「心のワザ学」を『古事記』や『日本書紀』や『古今和歌集』や空海著『秘蔵宝鑰』『秘密曼荼羅十住心論』などを紐解きながら考えてみたいと思います。