第18回品川セミナー

「森里海連環学」をとおして日本の自然を再考する 

平成23114日(金) 17:30より

柴田昌三(フィールド科学教育研究センター、教授・センター長) 

「森里海連環学」とは、2003年にフィールド科学教育研究センターが設置された時に提唱された学際領域の学問分野です。今世紀に入ってますます、日本人の自然離れは加速し、自然の荒廃が言われるようになってきました。そんなとき、森の研究者は森だけを、海の研究者は海だけを、それぞれ研究しているだけで問題は解決できるのだろうか、というのが、「森里海連環学」という発想の基点となっています。

 フィールド科学教育研究センターは、森と海の研究者が一緒になってできました。そして、管理が行われなくなった森の管理を再開することによってその影響が海までどれほど届くのかどうか、あるいは豊穣な海は陸地からどれほどの影響を受けるのだろうか、森から海に至る連環の中で人間はどのように生活してきたのだろうか、といったことをテーマにした研究をしています。現在の日本の多くの地域では、陸域と海域(水域)との間に、大きな壁を作り続けたことによって、連環が大きく断ち切られています。それは、日本の自然、あるいは私たちの生活にどんな影響をもたらしたのか、といった問題意識を持って、日本の自然を再考してみたいと思います。

  今回の話では、さまざまなスケールで存在する環の繋がり、その間に介在する「里」における人間活動、などについて、フィールド科学教育研究センターがこの数年間行ってきた研究成果も紹介したいと思います。また、今春、世界を震撼させた地震と津波が森里海連環の視点からはどのように見えるのか、についてもお話ししたいと思います。