第78回京都大学丸の内セミナー
『三国志演義』とならぶ中国通俗長篇小説の代表作『水滸伝』は、「侠」の物語と呼ばれる。「弱きを助け、強きを挫く」英雄たちが縦横無尽に活躍し、やり口の汚い人間のどろどろした欲望を、文字通り血みどろになりながら、ことごとく打ち砕いていく。不条理な現実に対する彼らの怒りが、革命的様相を帯びることは言うまでもない。それゆえ、「天に替わって道を行う」ことを旗印として梁山泊に集結した彼らは、まさしく叛乱集団となった。この集団はどのように形成されたのか、どのように変質して、どのような結末を迎えたのか。物語の展開に沿って考えてみたい。
雲は焼け、道は乾き──歩き続ける男たち(梁山泊以前)
砦の上にわれらの世界──梁山泊の誕生
誰かが風の中で──宋江のさすらい
築き固めよ、勇ましく──梁山泊の組織化
聚義から忠義へ──リーダーの交代
招安をめぐる対立
招安以後──漂流する梁山泊
方臘征伐──最後の闘いと英雄たちの離散
梁山泊とは何か?