第78回京都大学丸の内セミナー

叛乱集団の形成──『水滸伝』梁山泊の世界

平成2916日(金) 1800より

井波陵一(人文科学研究所 所長)

当日の講演映像

『三国志演義』とならぶ中国通俗長篇小説の代表作『水滸伝』は、「侠」の物語と呼ばれる。「弱きを助け、強きを挫く」英雄たちが縦横無尽に活躍し、やり口の汚い人間のどろどろした欲望を、文字通り血みどろになりながら、ことごとく打ち砕いていく。不条理な現実に対する彼らの怒りが、革命的様相を帯びることは言うまでもない。それゆえ、「天に替わって道を行う」ことを旗印として梁山泊に集結した彼らは、まさしく叛乱集団となった。この集団はどのように形成されたのか、どのように変質して、どのような結末を迎えたのか。物語の展開に沿って考えてみたい。

  1. 雲は焼け、道は乾き──歩き続ける男たち(梁山泊以前)

  2. 砦の上にわれらの世界──梁山泊の誕生

  3. 誰かが風の中で──宋江のさすらい

  4. 築き固めよ、勇ましく──梁山泊の組織化

  5. 聚義から忠義へ──リーダーの交代

  6. 招安をめぐる対立

  7. 招安以後──漂流する梁山泊

  8. 方臘征伐──最後の闘いと英雄たちの離散

  9. 梁山泊とは何か?