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第152回 京都大学丸の内セミナー
令和8年6月5日(金)18:00 ~19:30
上杉 志成(高等研究院物質-細胞統合システム拠点長/化学研究所教授)
京都大学iCeMSでは、分子が自律的に集まり、形や働きを生み出す「自己集合」を研究しています。これは、部品を一つ一つ組み立てなくても、分子同士が弱い力で引き合い、必要なときに必要な形を作る現象で、自然界の巧みな設計原理の一つです。細胞の中では、タンパク質が集まって“しずく”のような構造(細胞内自己集合体)を作り、情報伝達やストレス応答、遺伝子の働きの調節などを助けます。これらは状況に応じて現れたり消えたりする柔軟さが特徴で、生命のしくみを支える重要な鍵になっています。一方、材料の世界では、MOF(多孔性材料)などが規則正しく組み上がり、分子サイズの穴をもつスポンジのような構造を形成します。これにより、ガスの分離・貯蔵や触媒反応などに応用でき、環境・エネルギー問題の解決にもつながります。本講演では、生体と材料に共通する「自己集合」の概念をわかりやすく解説し、人類と地球の健康に貢献する自己集合科学の新しい世界を紹介します。