4回品川セミナー

「免疫の不思議―なぜ免疫の病気は先進国で増えているのだろう―」

共催:日本学術会議サイエンスカフェ

平成22年9月3日(金) 17:30より

坂口志文 (再生医科学研究所、教授・所長、日本学術会議連携会員)

免疫の仕組みは、病原ウイルスや細菌から私たちの体を防御するのに重要です。しかし、免疫系が、私たちの体の構成成分に反応してこれを攻撃し始めれば、関節リウマチなどの自己免疫病が起こります。花粉などそれ自体は無害の物質に過剰に反応するとアレルギーになります。先進国では、感染症が減少するのと反比例して、自己免疫病、アレルギーなど免疫の病気が増えてきています。このような異常、過剰な免疫反応はどうして起こるのでしょう。臓器移植の理想は、免疫系が他人の臓器をあたかも自分の臓器とみなして拒絶反応を起こさないことです。それは可能なのでしょうか。逆に、自己組織から発生した癌細胞に対して免疫系が攻撃するよう仕向けるにはどうしたらよいのでしょう。私達の研究室は、様々な病的、生理的免疫反応を抑制するリンパ球(制御性T細胞)について研究しています。このセミナーでは、免疫反応を制御する仕組みについて最近の研究成果と医療応用への展望をお話します。