第105回 京都大学丸の内セミナー

第105回 京都大学丸の内セミナー

日本の野生動物は減っている?増えている?

平成31日(金)18:00 より

杉浦秀樹 (野生動物研究センター 准教授)

 世界中で野生動物が減り、その多くは絶滅の危機に瀕していると言われています。日本でもカワウソやオオカミは絶滅してしまいました。トキのように絶滅寸前まで数が減り、人が懸命に増やそうとしている動物もいます。一方で、シカやサルやイノシシのように、最近、畑や住宅地に出るようになって困っているという話も耳にします。日本の野生動物は、減っているのでしょうか?それとも増えているのでしょうか?

この100年くらいの間に、トキのように数が減った動物がいる一方で、シカのように増えた動物もいます。その大きな原因は私たち人間にあります。この100年間で私たちの暮らしは、劇的に変化しました。それは私たちと自然の関わり方の変化であり、野生動物に対しても大きな影響を与えています。

過去100年くらいの日本の野生動物と人間の暮らしの変化をたどり、野生動物と人との関わりを考えてみたいと思います。

 図1:1941年から2007年までのシカの捕獲数の推移。
シカが増えていることが読み取れます(環境省 捕獲に関する統計資料集計より)。
https://www.env.go.jp/nature/choju/capture/pdf/d1.pdf
図2:京都市内の筆者の自宅近くに出てきたシカ(撮影:杉浦秀樹)。身近なところでも野生動物が増えていることを実感します。
図3:屋久島の世界遺産地域にすむニホンザル。(撮影:杉浦秀樹)。人の影響をほとんど受けない野生動物について知ることも重要です。