Research unit for coevolution and coexistence
主体部局(代表者):ヒト行動進化研究センター 今井 啓雄 教授
参加部局等(8部局)
ヒト行動進化研究センター、生態学研究センター、野生動物研究センター、人文科学研究所、フィールド科学教育研究センター、生命科学研究科/附属放射線生物研究センター、人と社会の未来研究院、アジア・アフリカ地域研究研究科
概要:
生物は、環境変動や他生物との相互作用に適応しながら進化する過程で、個体内の共生関係(例:消化器官内の共生菌)から個体間・種間にわたる共生、さらには競合を経た共進化などの多様な関係性を形成しています。ヒトを含む多様な生物は、この共生と競合のダイナミズムの中で適応戦略を発展させ、生態系や環境における共存戦略を獲得してきました。本プロジェクトでは、報告の少ない共生・共進化の国内外での具体例とそれに内包される競合のメカニズムを、体系的かつ先駆的に解析し、それが生態系に及ぼす多面的な影響を解明します。さらに、共生・共進化・競合が生態系の動態に及ぼす影響に対し、人類がいかに持続的な共存を模索できるかを、自然科学(生態学、行動学、認知科学、遺伝学等)と人文社会科学(地域住民の経済・文化活動や価値意識の分析等)を融合した国際的かつ学際的アプローチに加えて、市民や企業など多様なステイクホルダーともに超学際的アプローチを通して探求します。これにより、人間、自然、人工物の関係性を再考し、環境保全・整備における新たな道筋を示すとともに、社会課題に直結する環境問題の解決に向けた、国際的な政策提言を本学発で創出することを目指します。
Trans-disciplinary Research in the Digital Era (TRiDE)
主体部局(代表者): 東南アジア地域研究研究所 甲山 治 教授
参加部局等(13部局)
東南アジア地域研究研究所、学術情報メディアセンター、情報学研究科、フィールド科学教育研究センター、経済研究所、人と社会の未来研究院、教育学研究科、人文科学研究所、公共政策大学院、エネルギー理工学研究所、エネルギー科学研究科、医学研究科、農学研究科
概要:
2010 年代末からの情報学やデータ科学の発展で社会のデジタル化が進展し、古典的および近代的な社会課題が深化する中、デジタル化が新たな課題やその解決手段をもたらしています。本ユニットではデジタル化のもとで変容する社会課題に対して、フィールドワークとデータサイエンスの融合による超学際研究アプローチの有効性を、様々な学問分野が協力して探っていきます。
第I 期「学知創成ユニット」(2014-19)では地域情報学を通じた知識の統合化、第II 期「総合地域研究ユニット」(2020-24)ではデータ科学の応用による課題解決を推進し、複数分野での共通点、地域間比較、さらには地域の総体的な俯瞰を可能にする新手法の確立を行ってきました。そこで本ユニットではこれまでの蓄積を踏まえ、学際融合の焦点をデジタル化に伴う社会的および学問的課題の解決に絞ることとします。
ユニットは大きく(1)情報学基盤、(2)テキスト・画像分析による社会課題へのアプローチ、(3)大規模データ・フィールドワークデータの実証による社会課題へのアプローチ、(4)デジタル化時代のフィールド研究方法論、(5)デジタル化がもたらす社会・学問の新課題,の5 つのグループを作り、それらに研究者が横断的に参画する形で推進されます。
こうした新しい学際融合研究手法の確立は、現代社会の課題を析出しその解決方法を探求する新たな手段として、その大いなる展開が期待できます。
Unit of Topology-based Approach for Complex Systems
主体部局(代表者):(代表者)医生物学研究所 望月敦史 教授
参加部局等(8部局)
基礎物理学研究所、化学研究所、医生物学研究所、生態学研究センター、経済研究所、フィールド科学教育研究センター、数理解析研究所、情報学研究科
概要:
自然界の様々な階層において、多数の因子が相互作用する複雑なシステムからダイナミクスが生まれる現象が見られます。このような複雑システムの振る舞いの重要な側面が、因子間の相互作用のトポロジーのみから決まることが、物理学や生命科学などの異なる分野において、近年独立に明らかにされてきました。これらの理論は、互いに異なる階層に適用できる可能性があり、多数の因子からなる様々なシステムに共通の科学的方法や理解が得られる可能性があります。本ユニットでは、このような着想の元に、物理学、化学、生命科学、生態学、経済学を対象とする研究者が分野横断的に集い、共通の課題意識の下、研究交流や共同研究をすすめます。
トポロジーという数学的概念を共通言語とすることで、分野を超えた理解の共有や共同研究が可能となります。さらに、分野間で手法や成果を交換することにより、複雑システムを研究するための共通の科学的基盤を得たいと思います。本ユニットの活動を通じて、高次元システム一般に対する、普遍的な原理の発見や共通の方法の確立に迫ります。