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第156回 京都大学丸の内セミナー
令和9年2月5日(金)18:00 ~19:30
講演者:髙橋 淳 (iPS細胞研究所 教授)
我々はiPS細胞から誘導した神経細胞の移植によって神経回路を再構築し神経機能を回復させることを目的として開発研究を進めています。主な対象疾患はパーキンソン病および脳梗塞です。パーキンソン病は中脳から線条体に伸びるドパミン神経細胞が徐々に失われる神経難病で、それによって手足がふるえる、動きが悪くなる、などの症状が進行します。そのため、iPS細胞からドパミン神経細胞をつくり、それを直接脳内に移植することによって失われたドパミン神経細胞の補充と症状の改善を目指します。さまざまな基礎研究の成果を基に、我々は2018年より京都大学医学部附属病院において、実際の患者さんで細胞移植の安全性と有効性を検証する治験を開始しました(図1)。この治験では、重い副作用は認められず、移植細胞によるドパミン産生および症状改善が確認されました。この結果に基づいて住友ファーマ株式会社が薬事承認申請を行い、2026年3月に厚生労働省から条件期限付き承認を得ることができました(図2)。脳梗塞治療に関しては、iPS細胞から大脳神経細胞をつくり、脳梗塞モデルマウスへの細胞移植で脊髄までの軸索伸長と運動機能改善を確認しました。こちらも治験を目指して研究を続けています。本講演では、これらの研究を進める上での様々な人たちとの出会いを含め、神経疾患に対するiPS細胞治療について紹介します。
図1:パーキンソン病に対する細胞移植の治験の概要
図2:iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞製品(アムシェプリ)